(1)動物の一時保護施設の設置
地方公共団体の動物収容施設について、殺処分ではなく救命を主目的とした一時保護施設とすることを定めてください。
説明
現在、動物行政を所轄する自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、保健所設置市)は平成18年度で105あります。動物行政は、動物愛護法に基づく犬猫の引き取り、および条例による犬の捕獲と収容の業務を行っていますが、行政の施設に収容された犬猫の救命率を見ると、犬は約24%(返還と譲渡)、猫は約2%(譲渡)にすぎません。行政の施設の機能を殺処分から、虐待されている動物の緊急保護を含め、救命のための一時保護(シェルター)機能へ転換することが求められています。行政に収容された動物に、最大限に生存の機会を与えることを目的とした整合性のある法制度の再整備が必要です。
提案
- 「狂犬病予防法」に定められた「抑留所」の規定を廃止し、動物愛護法における動物の一時保護施設として統合すること。
- 迷子動物の一時保護、虐待を受けた動物・負傷動物等の保護収容等を行い、また、飼い主の不慮の事故、病気、虐待などの理由により、飼い続けることが困難な犬猫を保護し、治療、快復、里親探しを行うことを主たる業務とすること。
- 動物の一時保護施設の運営には、地域の動物愛護団体等が参加し、地域における人と動物の共存の拠点として位置づけていくこと。
(2)動物収容施設の基準
行政の動物収容施設、および民間の動物保護施設について、動物の健康と安全確保のため、施設基準および飼養保管の基準を定めてください。
説明
行政の収容施設は、殺処分を主目的に設計されたため、一時保護施設としての機能がないがしろにされ、施設基準も収容保護の基準もありません。スペース、通風、陽光、冷暖房等の環境が劣悪であり、そのためにパルボやジステンバーなどの感染症が蔓延することもしばしばです。また、国の法律に基づく施策でありながら、自治体間の地域格差がありすぎます。
提案
- 行政の動物処分施設を救命を目的する施設へ転換するために、動物の健康と安全の確保のための施設の基準を設けること。
- 民間の動物保護施設においても、譲渡を進めるためには同様の衛生管理やスペース等の施設基準を適用すること。
- 保護動物の健康を保持するため、「保護施設(シェルター)における動物の飼養及び保管に関する基準」の策定を行うこと。
(3)災害時の動物救護措置
感染症対策および地域防災計画対策の一部として、緊急時に飼育動物の命と健康が守られるように取扱いの基準を定めてください。
説明
1995年の阪神大震災は、飼育動物の避難対策に大きな教訓を残しました。大地震や火山の噴火など自然災害の発生時における飼育動物の避難対策が必要であり、また動物園や実験動物施設等においては建造物の倒壊による動物の逸走防止等の対策も講じる必要があります。
2006年には、人畜共通感染症の集団発生事件がありましたが、感染症の発生時の緊急隔離施設や管理治療マニュアルがないため、大変な混乱と被害の拡大を招きました。人から人へのの感染症および動物由来の感染症、家畜伝染病については法律がありますが、ペット間の感染症の防止のための法律はありません。猫エイズ、パルボ、ジステンバーといった、劣悪な多頭飼育施設で発生する感染症についての対策が必要です。また、感染症の発生時に、安易なペットの遺棄や処分が行われないようにすることも大切です。
提案
- 災害発生時にパニックが生じないように、地域防災計画の中に、飼育動物の保護や避難のための対策を書き込むこと。そのために、環境省は内閣府中央防災会議との連携を図り、必要な対策を講じること。
- 動物取扱業の飼育施設における感染症発生時の対策マニュアルを策定すること。
