HOME >> CONTENTS >> 動物たちの現実・動物虐待事件メニューへ>>

長野県 乗馬牧場元経営者、馬を衰弱させた虐待で罰金15万円判決
2000年に施行された「 動物愛護法」違反に基づく、「衰弱」での全国初の立件!

2001年3月9日
長野高遠町で4頭の馬を長期間水、餌を十分に与えず衰弱、2頭死亡、2頭が衰弱したまま死体の隣に3ヶ月放置 。「動物との共生を考える連絡会」が2001年4月に牧場主を動物虐待の容疑で告発 。
2001年12月4日
毎日新聞
動物虐待 馬に餌与えず 元乗馬経営者を書類送検
 長野県警伊那署は4日、馬の世話を十分にせず2頭を衰弱させた動物愛護法違反(虐待)の疑いで、同県高遠町荊口(ばらぐち)の元乗馬牧場経営者(54)=同県茅野市=を長野地検伊那支部に書類送検した。昨年12月に改正・施行された同法に基づき、衰弱させた行為での立件は全国で初めて。
 調べでは、元経営者は3月ごろ、乗馬牧場で飼っていた馬2頭に十分な餌や水を与えず衰弱させた疑い。2頭はあばら骨が見えるほどやせ、4月に茅野市内の牧場に保護された。調べに対し、元経営者は「自分が体調を崩し、餌をやれなかった。芸を教え込む目的で餌をやらなかったこともある」と話しているという。
 この乗馬牧場では、1月にも別の馬2頭が死んだまま放置されていたが、同署は「死因が特定できない」として立件を見送った。乗馬牧場は現在閉鎖されている。
(2001年12月4日毎日新聞)
2003年1月24日
(毎日新聞)
高遠町の飼育馬虐待、論告求刑 乗馬牧場元経営者に罰金30万円 /長野
 飼育していた馬の世話を十分せずに衰弱させたとして動物愛護法違反(虐待)の罪に問われた、高遠町荊口(ばらくち)の乗馬牧場の元経営者の男(55)の論告求刑公判が23日、伊那簡裁(藤田昌宏裁判官)であった。検察側は「虐待を行っていたことは明らか」として、罰金30万円を求刑した。
 起訴状などによると、元経営者は01年3月9日から同年4月11日までの間、飼育していた馬2頭に対してみだりに給餌や給水をやめ、衰弱させるなどの虐待を行った。
 これまで元経営者は一貫して餌を与えなかったことを「伏せの芸を教えるため」と主張していたが、検察側は「社会通念や常識を超え、まったく信用できず、自己の行為を正当化する抗弁にすぎない」と厳しく指摘し、「酌量の余地もない」と主張した。これに対し弁護側は、「(馬は)ある程度体力の低下はあったが、調教の狙い」と反論し、無罪を主張した。【藤井裕介】(毎日新聞)
2003年3月14日
毎日新聞
飼育する馬の世話を十分せずに衰弱させたとして動物愛護法違反(虐待)の罪で罰金30万円の略式命令を受けた、高遠町荊口の乗馬牧場元経営者男性(55)=茅野市塚原=が、命令を不服として求めた裁判の判決公判が13日、伊那簡裁であった。藤田昌宏裁判官は虐待の事実を認めたが、被告の病気などを理由に、罰金15万円(求刑同30万円)の判決を言い渡した。元経営者は控訴しない方針。 判決によると元経営者は01年3月上旬から約1カ月間、馬2頭に対し、別の馬2頭の死体が放置され、馬ふんも掃除されない状況で、えさを十分に与えず、栄養障害にする虐待をした。被告側はえさを十分与えなかったことを「伏せの芸を仕込むため。虐待ではない」などと主張してきたが、藤田裁判官は「生命ある動物を苦しめた」「非難されなければならない」とした。一方で、元経営者は病気などで体が不自由、1頭は比較的、衰弱の度合が軽い――などとして、罰金額は求刑の半分に留めた。 元経営者は95年から乗馬牧場の経営を始めたが01年4月、馬2頭の死体を放置していることが自治体職員らに知られ問題化した。都内の動物愛護団体の告発で同年12月、伊那署が動物愛護法改正(00年)に伴う罰則を全国で初めて適用し、立件していた。(2003年3月14日 毎日新聞)
関連リンク

新しい動物愛護法が動き出した。長野高遠の馬虐待遂に送検!

※保護された馬の写真や新聞記事の画像あり。

判決について

2003年3月13日に、伊那簡易裁判所にて、判決が言い渡された。

「理由(罪となるべき事実)」では、『被告人は,長野県上伊那郡A町B番地及びその周辺土地において「C乗馬牧場」を経営し,同所に設置された厩舎において被告人が所有・管理する愛護動物である馬2頭(クォーターホース1頭,シェトランドポニー1頭)を飼育していた者であるが,平成13年3月9日ころから同年4月11日までの間,上記馬2頭に対し,死馬2頭が放置されていた上に馬糞の清掃もなされていない不衛生な環境の下,十分な給餌をせず栄養障害状態に陥らせる虐待を行ったものである。』とされ、「主文」では、『被告人を罰金15万円に処する。その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。』とされた。

注目すべきは、「補足説明」の中で、裁判官が次のように説明していることである。

(補足説明)
2 動物の愛護及び管理に関する法律27条2項に規定する「虐待」とは,愛護動物の飼育者としての監護を著しく怠る行為を指すものであり,その代表的な行為として「みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる行為」が例示されているものと解される。
したがって,必ずしも愛護動物が「衰弱」していなければならないものではなく,著しく不衛生な場所で飼育し,給餌又は給水を十分与えず愛護動物を不健康な状態に陥らせるといった行為も,上記「虐待」に該当するものと言うべきである。

更に、馬の飼育に必要な飼料必要量を算出し、1日当たりの平均量を下回っていることを指摘すると共に、栄養消耗症、栄養失調症と推定。被告人は,毎日上記牧場にいるわけではなく,自分が仕事等の用事がある時には別の人物に給餌及び給水をしてもらう必要があったが,世話を依頼していた人物も、十分に世話を行っていない事実を指摘。厩舎の状況については、「周囲の馬糞が除去されず,しかも厩舎内及びその手前に死んだ馬2頭(しかも腐敗が進行していたものである。)がそのまま放置されており,建物自体もボロボロと言っても過言ではないものである。保護された馬2頭は,そのような厩舎内に,それほど長くない綱(1メートル前後)で繋がれた状態にあったことに鑑みれば,極めて不衛生な状況下で飼育されていたと言わなければならない。」としている。

そして、「その上,被告人は,平成13年4月28日,生きている馬2頭の所有権の譲渡をGから求められ,それほど強く反対することもなくこれに応じている。
このことは,被告人自身が今後適切に馬を飼育していくことはできないと認識していたことを推認させる。」と指摘。


裁判官は、『したがって,被告人は動物の愛護及び管理に関する法律27条2項に規定する「虐待」を行ったと認定するのが相当である。』 という判決を言い渡す。


「量刑の理由」の中では、「本件は,乗馬牧場を経営していた被告人が,そこで飼育していた馬2頭に対し,極めて不衛生な状況下で,十分な給餌をせず栄養障害状態に陥らせたという事案であり,生命ある動物を苦しめた被告人の行為は非難されなければならない。
特に,上記2頭の馬は,5年以上もの間,被告人の下で飼育されてきており,十分な餌を与えられなくなっても,被告人を信頼して従順に空腹に耐えていたであろう様子を想像すると,まことに不憫である。
これらの点を考慮すると,被告人の刑事責任を軽視することはできない。」とされています。

※判決詳細リンク
http://members.jcom.home.ne.jp/doubutusimin/hanketubun.htm
http://nyanko.circle.ne.jp/dokyoren/horse_trial.html

   

 

Copyright (C) kanako. All Rights Reserved.

HOME >> CONTENTS >> 動物たちの現実・動物虐待事件メニューへ>>