〜事例1 東京都台東区の場合(2005年12月15日UP)

 東京都台東区のとある公園で、一人の女性が捨てられた猫たちの世話をしていました。60匹以上の猫に、自費で不妊手術をしました。その方は早朝、夕方に餌を容器に入れてあげ、容器を持ち帰る(公園の美化、カラスが来るのを防ぐため)、ホームレスの方の協力を得て糞尿の始末まで毎日していました。

 しかし、公園に隣接する住民がこのことを快く思わず、「野良猫に餌をあげないでください」という貼り紙などを公園側の壁に貼るなどし、更には区役所へ「猫を公園で飼っている女性がいる」という苦情を言うなどしたため、台東区の公園緑地課は、
「公共の場で猫を飼わないでください。かわいがるのなら、野良猫とせず、ご自宅でお飼いください」
という看板を設置するに至ります。

 この話を知った「Dear,こげんた」管理人mimiさんが、台東区へ働きかけた内容と、その結果の事例です。

2005年3月〜6月

Mimiさんが区役所に出向き、保健衛生科の女性に地域猫活動をしている女性について述べる。
担当の女性は「地域猫」という理想的な活動の知識はあり、進めたい愛護の心があるものの、苦情を重視するお役所の体制との板ばさみになる。
看板は「公園緑地課」の担当ということで、彼女が交渉にあたるがうまくいかず、その後、Mimiさんが「公園緑地課」に電話をして『Dear,こげんた』の本を送り、また、6月には、台東区の区長・公園緑地課のほうへ手紙で「地域猫活動の推進」について要望する(※手紙の内容は、下に掲載しています)と共に、「地域猫活動」に関する資料も送付する。
数日後、理解してくださったようで、看板の内容について相談を受け、Mimiさんが看板内容を制作。

ついに、公園に新しい看板がかかる。

ルールを守ってみんなの公園

●犬はリードを必ず着けて散歩をしましょう!
●犬の糞は必ず始末をしましょう!
●この公園ではボランティアの方の協力で「飼い主のいない猫」対策に取り組んでいます。住民の方のご理解をお願い致します。

_ボランティア活動とは_
◆飼い主のいない猫の増加を防ぐための不妊手術
◆地域のごみ箱を荒らさないための衛生的な餌やり
◆出来る限りの糞の始末、などを行っています。

※動物愛護法により動物を虐める行為、犬猫を捨てる行為は罰せられます

その後

ネット環境もなく、「地域猫」という言葉も知らず、ただただ捨てられた猫たちを放っておくことができず、一人で黙々と猫たちの命を守るべく行動していた女性は、新しい看板を見た時、嬉しくて看板の前で泣いてしまったそうです。
公園緑地課が間に入り、苦情を言っていた住民たちも「そこまで ボランティアでしているとは知らなかった」と納得してくれたそうです。
そして、それから数ヵ月後。
台東区では、 『千代田にゃんとなる会』の協力を得て、第一回「地域猫についてのセミナー」開催するに至りました。

Mimiさんが行政へ送った手紙〜台東区区長様・台東区公園緑地課課長様宛
昨年1月に東京都のハルスプランに於いて「飼い主のいない猫との共生支援事業の普及推進」が提示されているのをご存知でしょうか?
 すでに世田谷区を筆頭に新宿区や墨田区、目黒区、杉並区、千代田区などでも、率先してこの地域猫活動が推奨されております。
欧米でもTNR(Trap/Neuter/Return)として行政から推奨されています。
主な苦情内容には「発情時の泣き声」「糞尿」「ごみあさり」があげられると思います。
その苦情をどのようにしたら回避できるのか?と生まれた共存方法です。
 発情時の泣き声と無防備な繁殖は不妊手術をすることにより回避できます。「糞尿」は掃除することで問題解決できます。置き餌をせずに、容器を持ち帰る餌やりによりごみ箱をあさることがなくなります。「不妊手術」「置き餌をしない」「糞の始末」がこの活動の3点ポイントです。
 台東区××公園では、一人の女性ボランティアの方が自費で50匹以上の猫を一年間で不妊手術しました。その方は早朝、夕方に餌を容器に入れてあげ、容器を持ち帰る(公園の美化、カラスが来るのを防ぐため)、ホームレスの方の協力を得て糞尿の始末まで毎日しています。
猫の被害の主な項目は
● サカリの泣き声
● ごみ箱を漁る
● 糞、尿(とくにサカリの時期の匂いつけ)
こういった被害が彼女の毎日のボランティア活動により軽減していることは明らかです。
もし、彼女がこの活動をしていなかったら、無防備に猫の数は増え続け、猫による苦情が相次いでいたのは言うまでもありません。
 そして公園緑地課により××公園に2005年3月に貼られた看板は
「公共の場で猫を飼わないでください。可愛がるならご自宅でお飼いください」
という他区では昨今見られない看板でした。
 元々は野良猫は人間に捨てられた猫達です。動物愛護法27条により動物遺棄は犯罪です。
然しながらこの法律の存在を知らない人が大半なのが現状で、子猫の遺棄が公園周辺で頻繁に起こっています。この捨てられた子猫達が繁殖、増加して地域住民を困らせることがないようにと不妊手術を行っているのが彼女です。他地域では猫嫌いの人が「猫は嫌いだけれど、生きている命は無視できない。減少してくれるなら・・」といった理由でこの地域猫活動に参加しています。つまりこの活動は「猫好き」の人のためだけでなく「猫嫌い」の人のためでもあるのです。
 台東区の衛生課の方とお話をしました所、公園緑地課の看板の意図が以下の理由であると伺いました。
● 猫アレルギーの子供がいるかも知れないから
花粉アレルギーの子供がいたら、樹木を全て撤回するのでしょうか?
猫がいなければ、多数の鼠がきます。鼠が運んでくるアレルギーは猫アレルギーの比ではありません。そこはどう考えていらっしゃるのでしょうか?
猫の餌やりは早朝6時と夕方に行われています。その時間に××公園で遊んでいる子供は見たことがありません。
● 公共の場での餌やりを認めるわけにはいかない。自宅であげるようにして欲しい。
前述にも述べましたように、彼女が世話をしているのは公共の場に遺棄された猫達です。
看板に記された「自宅で飼う」ということとは論点が違います。
責められるべきは遺棄した犯罪者ではないでしょうか?
公園というのは、本来都市に残された唯一の自然の場所であり、自然であるからこそ、樹木も虫も野良猫もいます。そういった生物を排除することは公園本来の目的ではないはずです。
他区では東京都のハルスプランに沿って公共の場での餌やり(地域猫活動に限る)を認めている上に地域猫活動を推奨しています。何故、台東区だけは認めることが出来ないのでしょうか?
地域のために働いてくれている無償のボランティアを排除するよりも、協力しあい共に進んでいくことが動物のためにも、地域住民のためにも実りある方向だと考えます。
再考慮の上、××公園の新しい看板の設置を早急にお願い致します。
また、出来ない場合は納得の出来るご回答を文書にてお願いいたします。
他区の公共の場での看板写真を添付させて頂きます。

(mimi)

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