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コンパニオン・アニマルとの適正関係の模索―人間社会の希薄化において― ハル著

1、日本の動物取扱状況

 日本の取り組み不足を指摘するためには、現状を見ることが非常に重要になってくる。現状がどのようになっているのかを確認することで、日本の意識の薄さを指摘する。現状を分析し、人間の持つ役割や責任の在り方を考え、動物が置かれている状況の改善すべき箇所を導き出すこととする。
@動物の所有権
伴侶動物にとって、信号やエレベーターなどの多い人間社会は大変危険である。伴侶動物として人間社会で育ち生活しているのが通常であるが、首都圏では特に行方不明になることが多く、その場合原則遺失物として処理される。 しかし、所有権は飼い主にあり、この伴侶動物を発見して自分の元に戻す権利がある。仮に他人が拾得し、動物を保護していた場合、飼い主は拾得者に対して返還を請求することが出来、拾得者は原則としてこれに応じなければならない。逃走した場合の伴侶動物は遺失物となり、それに関しては、遺失物に関する手続きを定めた法律に沿う。速やかに交番や元の飼い主に届けを出すようにし、警察が飼い主を発見した場合も、飼い主の元に返される。6ヶ月間所有者が不明であった場合は、拾得した者が所有権を獲得することが出来る。 もしその後に、元の飼い主が返還を求めてもそれに応じる必要はなく、確実に飼い主となることが出来る。野生動物に関しては、所有者はおらず、捕獲、保護し所有の意思を持って飼い始めることにより所有権を獲得する。失踪した伴侶動物か野生動物か区別がつかないときには、1ヶ月経過しても飼い主から返還請求がない場合、所有権を取得することになる。


A動物愛護相談センター
このように社会で生活する動物のトラブルは、市域動物の増加もあり、対応を強化しなければならなくなっている。地域では、動物が迷子になったり、繁殖しすぎたりなど、様々な事情で動物を保護する施設や体制が求められている。現在保健所で預けられる体制ではなく、動物は動物愛護相談センターで保護される。動物愛護相談センターは、各都道府県に設置されており、動物の引き取り、飼い主の飼育向上のための教育、殺処分などが行われている。動物愛護相談センターで保護される動物の種類は、犬、猫、兎、鶏、アヒルと限定されているが、兎、鶏、アヒルについては、一般からの引き取りは行っておらず、負傷している場合ややむをえない場合にのみ限定し引き取っている。犬、猫においては、一般からの引き取りに加え、迷子や地域の問題になる場合の捕獲も行っている。特に犬の場合は鎖を離して飼うことが条例上認められていないため、犬の捕獲収容として、動物愛護相談センターの職員が捕獲に向かうシステムになっている。猫は基本的に放して散歩に出ることから、飼い主や地域から申し出のあった場合に捕獲へ向かうことが多い。



表4−1 動物愛護相談センターにおける収容状況
平成13年 東京都動物愛護相談センターより
動物の引取りの多くは、拾得者からの持込で、その場合は無料で保護される。飼い主がこれ以上飼えないことを理由に持ち込んできた場合は、引取り料として、成犬が2800円、大型犬が5500円、成猫が2800円、子犬・子猫が560円と決められている。これは、動物愛護法の改正から引取り料を徴収するようになったものだが、ペナルティではなく実費としての徴収である。引取り理由の多くは、引越しや飼い主の死亡、飼い主の高齢化であるが、理由を聞いてから引取るものの統計は取っていない。

 


処分状況


表4−2 動物愛護相談センターにおける処分状況
平成13年 東京都動物愛護相談センターより
(収容状況の計及び処分状況の計は、前年度からも繰り入れ、翌年度への繰越頭数があるため合致しない)
それらの動物は捕獲されてから7日間の保護期間を持ち、その間飼い主が名乗り出るのを待つこととなる。それを過ぎた動物たちは、動物愛護相談センターで飼育することが難しいため、譲渡事業として新しい飼い主に差し上げるか、どうしても飼育が無理な場合や飼い主が現れないときは処分される。処分に関しては、動けない動物は獣医が一頭ずつ状態を診て麻酔で殺し、動ける動物に関しては炭酸ガスで殺す方法をとっている。 動物愛護相談センターの労働システムは、職員がほとんど獣医であり、捕獲も獣医の意思の元に行われている。譲渡事業は消極的であり、動物が二度と苦しい思いをしないよう、条件が定められている。欲しいといっても、簡単には譲渡せず、もう二度と捨てられたり、不幸な目にあったりしないよう、新しい飼い主となる人には講習会を開いている。本当に飼える環境にあるのかをもう一度検討し、気持ちを再確認するために、まずは事前講習会を開く。その際に意識を確認し、後に譲渡直前の講習会と事後講習会が実施され、飼い主の責任について再度話をしている。 預かっている動物にもチェックが入り、譲渡が少ない原因とも言える。健康状態など厳しい検査に加え、これから社会に戻って家庭に入り生活することになることから凶暴になる恐れがないかと細かく審査される。 ともかく猫に関しては、町中を俳諧できる自由な存在であることから、他の動物との接触を持ちやすく、不衛生な状態にある。 またその接触から子供を生み、地域猫が増加する傾向があり、結果、近所で問題となり動物愛護相談センターが捕獲を行うことに至る。そのまま放置しておけば、地域環境の悪化や虐待が起こる可能性があり、無法状態には出来ない。そこに収容された動物たちは譲渡されるのを待つことになるが、負傷した猫の場合は、衛生面から一週間の告知期間後に殺処分される。
責任の徹底追及の観点から、里親探しの一時的預かりを希望するものには譲渡できず、理由として虐待の対象となる可能性を示唆している。
しかしながら、処分状況は深刻であり、収容された動物の内、約79%が殺されている実情を、早急に改善する措置が講じられるべきである。リフォーミングは必ず必要である。動物愛護の進んでいる国でも、迷子や虐待者からの取上げでリフォーミングは行われ、命を救っている。日本の現状は、ただ動物を集めて殺すという体制にしかなっておらず、動物の命を助けるための施設にはなっていない。私たちが動物を飼うとき、ペットショップやブリーダーに頼むことしか頭に浮かばない。しかし、無料で譲渡する機関があることをもっと国民に知らせ、命の大切さを考えさせることが大切である。ここから、動物をもらえば、飼い主になる人は無料で動物をもらうことができ、コンパニオン・アニマルになる動物は、命を落とさず、素晴らしい伴侶になる。動物を守ることは、法律だけで決まるのではない。今の体制であっても、多くの人に譲渡体制を知ってもらうことで、多くの命を救うことが出来るだろう。
前述のように、動物愛護相談センターで多くの役割を担い、現在の保健所としては普及啓発適正飼育、動物愛護思想啓発など、飼い主に対するものへと変化している。 現状の告知では、管轄する各市町村の役所、保健所に情報が止まるのみで民間に広く知れ渡るような実効性は持たない。また、保護や里親探し目的での引渡しはしていないため、動物愛護相談センターとは名ばかりで、実際愛護するような具体的体制はまだ未成熟だと思われる。この状況を改善させるための会議や取り組みは成されているものの、将来の動物愛護の体制を基礎作るものとなるので慎重でもあり、異常な動物の無法地帯となることを避けるための合理的な発案はないのが現状である。またかつて安楽死と表現されていたのが殺処分と表現され、それを少なくするための方法が検討される。今では、動物を殺すためのガス室が作られ、一気に大勢の動物を殺すことができるようになった。 そのような動物を増やさないよう、持込者の身分確認、居住環境や飼育環境の確認、指導の徹底、手数料の高額設定、界隈の動物に対する去勢、避妊の措置を指導している。しかし逆にそれが苦痛となり、野良を増やす原因にもなりかねず、現状はむしろその傾向が強く認められる。手段は慎重で効果的なものが求められている。
しかしペットブームの中、飼育者の責任や覚悟が薄いため、動物愛護相談センターでは、無法地帯となりつつある。まずは、動物を処分状況に追い込まないことが大切である。以下、そのための法内容を検討する。


2、日本の動物法
@動物愛護法議事録

 日本でも動物愛護への注目は年々高まり、理想的体制作りが次第に目指されるようになった。第一次ペットブーム当時運用されていた動物管理法制定からは、相当の時間が経過しており、都市化、核家族化など社会の在り方も変容している。それが動物愛護法に改正に向かった一因であり、その間には様々な問題が発生していた。人間と動物を取り巻く環境は、常に変化しているが、特にこの間は、動物に対する社会の認識や人間の生活における存在意義が様変わりした。それだけではなく、伴侶動物の増加は、不適切な取り扱い、虐待、遺棄などを発生させ、理想的な共生は程遠い状況である。
特に動物愛護法の契機となったのは、1997年の神戸児童連続殺傷事件であり、加害者が動物を虐待していた経歴があり、それを確認したところにある。凶悪犯罪につながる可能性を指摘し、何より動物の命を軽視している心理を強く批判する声が高まった。そもそも人間や動物の命に対する意識の低さが、動物虐待から児童殺傷へとエスカレートしたとの報道がなされ、社会的関心を集めた。しかも動物虐待を有効的に防止できない動物管理法の不備が指摘された。
動物管理法では、虐待がわずか3万円という罰金の低さで、刑法第261条器物損壊罪を適用しても、3年以下の懲役または30万以下の罰金若しくは科料にすぎない。しかも、刑法を適用する場合、逆に動物を物扱いしていると批判もなされ、法の罰則規定が有効に機能していない。また、繁殖業者の不適当な管理による動物の死や健全でないペットショップの現状が、その法律の実用性不足に更なる不透明性を感じさせた。
自由民主党は、動物管理法も改正を求め、環境部会に働きかけを進めた。平成9年11月環境部会では、動物の法律を考える連絡会などの勉強会を開き、検討のための動物の愛護と管理に関する小委員会を設置した。小委員会会長には杉浦正健議員が就任している。同委員会の主旨は、現行の動物管理法が議員立法で制定されている経緯を踏まえ、不備な部分を検討するものとした。小委員会は、関係者からヒヤリングを行い、現行法制度の問題点と対応策について検討を始めた。
各方面から必要書類を作成し、その後自由民主党内の手続きを済ませる。活発的な行動を始めて、平成11年6月に、環境部会と動物管理法所管担当総理府の関係する内閣部会の合同部会において、改正案が了承される。自由民主党内における議員立法の党内手続きとして、政務調査会長の了承を得、平成11年7月29日政調審議会、30日総務会にて了承される。議員立法として国会提出を目指し、各党との調整を進めていった。全党合意を目指し、各党の理解を求める説明と意見調整を行い、自由・公明両与党の合意を確立すべく、改正案の提出及び調整後の報告の手続きを果たす。一部修正を経て、民主党・共産党・社会民主党への説明と調整を平行して進行させた。すべての修正を終えて、各党の合意を踏まえた後、衆議院の内閣委員会へ提出する運びとなった。
 平成11年12月7日に、内閣委員会が開催され、動物管理法の一部改正する法律案起草の件について議事が開始された。委員会植竹繁雄委員長よりその趣旨と内容についての説明がされ、動物が伴侶動物となる現代社会で、無責任な飼い主・不適切な飼養・虐待が問題となっていることを確認した。その概要は以下のとおりである。


@法律の題名を動物の愛護及び管理に関する法律と改める
(名称内容が不明確なことから、理解が容易で社会に浸透しやすい名称に改める必要性を明示)
A動物の所有者・占有者は命あるものということを自覚し、適正な飼養・管理・動物の健康・安全に努めなければならない
B動物繁殖業者は購入者に対し、適正な飼養・保管の方法など必要な説明を行い理解させるよう努めなければならない
C畜産動物に係るものを除く哺乳類・鳥類・爬虫類の飼養施設を設置し、取扱業を営む場合、その施設を設置する事業所ごとに氏名・名称・住所を知事などに届けなければならない
D取扱業は動物が健康・安全を保持するため、管理の方法(飼養施設の構造など)総理府の基準を遵守しなければならない
E都道府県知事は取扱業者が基準を遵守していない場合改善勧告を行い其の状況に関し報告を求め、都道府県などの職員は飼養施設を設置する事業所などに立ち入り調査が出来る
F都道府県知事等は多数の動物に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態があれば、それを生じさせている者に事態除去の勧告を行い、従わなければ勧告に係る措置を命じることが出来る
G地方公共団体は条例により動物の所有者等の飼養施設に立ち入り調査させる措置を講ずることが出来、立ち入り検査・調査・その他新法律に係る事務を行わせるための動物愛護担当職員を置くことが出来る。
H都道府県知事等は、地域の犬・猫等動物愛護推進のため、動物推進員を委嘱出来る
I動物をみだりに殺傷した者は、1年以下の懲役若しくは100万以下の罰金に処するという罰則強化を図る
 
 加えて、愛護動物には爬虫類を追加し、本案は賛成多数で本案を委員会提出の法律案となった。併せて、この法律案に伴う附帯決議案を発表するが、これは政府がこの法の施行に当たって、次の適切な措置を構ずるべきとする内容であった。
 
@ 所有権を放棄した愛護動物や虐待など保護が必要な動物は動物愛護推進員により新たな飼い主・引取り先を斡旋することが想定される、この活動を支援する国の活動を検討し、適切に処置すること
A 学校・福祉施設などの動物の適正飼養は其の重要性から、獣医師などの指導の実施・あり方を検討し・関係行政機関が適切に連携基準の中に盛り込むなどの措置を取ること
B 飼い主の責任意識の高まりを踏まえ、公園など公共施設の利用のあり方について検討すること
C 犬・猫の引取りは、終生飼養の責務に反し、やむを得ないときは所有権の放棄に伴う緊急避難措置として位置づけられ、責任の徹底につれ減少するという観点に立ち、引取りのあり方につき更なる検討をすること
D 日本の伝統芸能(三味線など)に係る製造に支障をきたさぬよう、伝統文化保護の行政とも連携し、都道府県などで殺処分された動物の活用について適切な配慮がなされる措置をすること
E ペットの放置・遺棄による在来種への圧迫をはじめとする外来種・移入種による地域生態系への影響防止の観点からそのあり方などに関する対策を検討し適切に措置すること
F 国・公共団体を通じ、本法の適切な施行・運用のための体制の整備・充実を図ること
G 附則第二条に基づき検討を行うに当たり、次の事項を適切に措置すること


1、動物取扱業者の届出制については、実施状況を調査し、問題発生の有無などにより有効性を評価し条例制定など先進的な取り組みを踏まえ、優良業者の育成・消費者保護の観点から、加味した登録制などの措置について実施可能性も含め検討すること
2、規制対象となる取扱業の範囲も問題発生の状況・条例の見直しの状況を踏まえ、検討すること
3、規制に営業停止に係る命令など措置をとることは、実態を踏まえ其の必要性や有効性を含め検討する
4、罰則の対象である虐待は、本法に基づく摘発・立法状況を踏まえ、見直しの必要性も検討すること
5、動物愛護の範囲は今後の問題発生状況などに応じ、其の見直しなど検討すること
6、今回の改正に入らない事項(動物の取扱・情報公開など)も各種の取り組みなどを踏まえ、動物の適正な飼養の推進の観点から検討を行うこと
 この法案は賛成多数で、改正法律案の提出に伴う決議にまとまってきた。平成11年12月14日の国土・環境委員会は、提案の趣旨や内容の概要を説明し、全会一致で原案通り可決が決定した。附帯決議案については朗読が行われ、全会一致で、「動物の愛護及び管理に関する法律」が成立した。平成11年12月22日に改正案は公布され、この日から一年以内の政令で定める日から施行する旨、附帯で規定された。政府が行う施行の準備が進められ、新法律に伴う要素を主軸とし動き出した。
改正動物愛護法の告知や、施行日の決定が行われ、施行日を定める政令が平成12年6月30日に決定されたため、同年12月1日に施行日が決定した。取扱業者への規制に係る遵守すべき管理の方法・飼養施設の構造などに関する基準を設け、また動物保護審議会に専門委員会を設置し、人の生命など害を加える恐れのある動物を指定する政令が出され、動物の選定も行われた。人間の地域生活に問題が発生しないよう、多頭飼育者による周辺の生活環境を損なう事態の設定がなされ、施行規則に盛り込まれた。
加えて、伝統文化保護の観点から文化庁文化財産保護部の要請を受けて、総理府管理室より都道府県の動物愛護管理主幹部局に対し、犬・猫の死体の処理における配慮の依頼が確認された。様々な準備活動がなされ、複雑な局面も打開していった。動物管理法と同様に、動物愛護法も総理府官房管理室で管理され、平成13年の中央省庁など再編を機に、動物愛護法の所管を含め、動物の愛護や管理に関する事務が環境省に移管された。環境省では、自然環境局総務課に動物愛護管理室が設けられ、そこを中心として行政の役割が担われることとなった。


A動物法の確立
 しかし未だこの法律は満足なものではなく、さらに詳細な部分にまで、適用を広げる必要がある。
具体性に欠け、強制力を持たないため、実行力がない。現状に問題があるから改正をしているはずなのに、具体的に現状を回復させるための手段や権利について述べられていない。抽象的で道徳的な項目が多く、本当に必要な「動物と人間を守る」ことに対して、いまひとつ確立できていない。「出来る」や「努める」という言葉が多く使用されていて、この記述では日本の現状を抜本的に直せるとは思えない。取り締まる担当員の配置についても曖昧であり、取締りや今後の対策に向けての専門家の重要性も確認できておらず、文章を作って満足するという日本の体質が未だ残っている。今までの法や体制では裁けなかったことを見直して、新たな役割を誕生させることが重要である。
また、飼育者に必要な具体的説明を説明する機関や条例がなく、非人道的な飼育や管理をしたものについての今後の対策や動物の行く末を明記していない。イギリスでは、マーチンが策定したものに改良や工夫をして、「物言わぬ動物たちのマグナカルタ」や身近な犬を守るための法律や体制など、詳細に具体的に法律化していっている。その後も、虐待対象となる動物の範囲を拡大し、効果的な防止のための法律を作るなど、常に進歩している。日本では、飼い主への介入や社会における動物愛護推進は未だ不十分である。産業に対する規制や監視についても、対策を講じなければならない。実行力のある法整備は必ず必要である。法改正を繰り返し、法が認知されるよう努めなければならない。


B具体的実用性
 動物と人間がより共生しやすくなるために法律が改正され、以前よりは罰則が強化された。しかし効力や具体性・強制力、それに伴う実行力の不十分さが目立ち、特に体制作りは不十分である。実用的で効果のある体制作りがなければ、何の意味も持たない法律となって、動物管理法と大差ないものへと価値を下げる。
この新しい法を運用するためには、実情を調査し監視し摘発する人員を確保しなければならない。動物愛護法第17条により、動物愛護担当職員と動物愛護推進員が新設され、この法の運用に直接関わる役割を持つ。動物愛護担当職員は、動物取扱業者に対し立入調査や立入検査の権限を持つ。 その他動物愛護及び管理に関する事務を行い、地方公共団体は条例によりこれを置くことが出来る。これは獣医師など動物の適正な飼養・保管に関し専門的知識を有するものとされ、その職名を有する職員を置くことが出来、動物取扱業者との関係で非常に大きな役割を果たす。しかし、あくまでその責を設置することが可能であるとするに留まる。動物愛護法の運用を有効にするか否かの機能であるのに、活動は不透明で積極性を感じられない。動物愛護推進員は、法的権限を持たず、動物愛護と適正飼養の重要性の理解を深めるための活動・繁殖制限・その手段の助言や動物譲渡の斡旋、その他動物適正飼養に必要な援助を行うに過ぎない。 地域の動物の愛護推進に熱意と識見を持つ者から、都道府県知事が委嘱するが、何よりも日頃の活動が重要となる。権限はなくてもいかに地域に受け入れられるかが問われ、そのための工夫と配慮が必要となるはずなのだが、その点の配慮はない。
動物愛護担当職員との適切な連携が図られれば、その活動はより効果的である。しかし、両者の存在は身近なものではない。役割が与えられているのかどうかも不明確なほど、一般的に浸透していない。社会や地域にその存在が伝わらなければ、役割は意味を持たないし、文章化したことに満足しているだけである。それでは、各動物を保護していることにはならない上、今の実情を改善するための有効な法であるとは言い難い。

図4−1 動物愛護法の周知度


平成12年 内閣総理大臣官房広報室より
 今次の法律を活用するには、そのための検査や監視する権限を更に盛り込む必要があると考える。監視員・検査員・査察員の確保を含み、強制力のある権限を与えて、家庭内で何が起こっているのか全く分からないという不明確な状況を脱却しなければならない。
動物愛護法の罰則は27条によって規定されており、最高でも100万円の罰金に留まり、改正前の3万円から見れば引き上げられたものの未だ十分だとは思わない。しかも、虐待を見つけたものが警察に届け出ても、ほとんどが相手にされない。これは、動物の命に関し軽視する傾向が抜け切れていないことと、専門家ではないので、虐待なのかどうかを判断することが困難な点にある。確かに、児童虐待ですら、家庭に入ることが難しく、動物だけのために強制的に立ち入ることが出来ない。また、警察のように、人間の保護を目的としている機関が作用している以上、無論人間が優先されることになる。イギリスと同等の法律・機関があれば、動物愛護法の認知度も上がり、日本の動物虐待や、動物愛護相談センターで無意味に命を落とす動物は確実に数を減らす。アニマルポリスのような、専門的且つ強制力や逮捕権の確立が必ず必要である。
それに加えて、動物の管理を主体にした法律は一線を辿るばかりで、虐待の定義も不明確で、罰則もそれに見合っているとはいえない。罰則の甘さに加え、法の認知度の低さ、検挙率の低さ、発見不可能な環境など、確実化しない体制が根強い。また、飼い主として不適格な場合、動物の没収や、その後動物を飼養する権利の制限・剥奪など、動物の命を救う体制や法作りが今後必ず必要となる。 第5章、適正関係のあり方と方法
 動物の法律は少しずつ進められているが、未だ動物との適正関係は確立できていない。法律は、作ることや罰則を強化することを手段にして、より良い社会を作らなければならない。しかしながら、動物を守るのは人間であり、動物を愛護する気持ちが重要である。


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