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◆殺処分ゼロを目指す時◆

タイトル

以下にご紹介するのは、2007年8月12日の「USA Today」(※USAトゥデイ(USA Today) は、1982年に創刊されたガーネット社のアメリカ合衆国で初めての一般大衆紙です。この新聞は、全米における発行部数が首位であり(週平均225万部以上)、全米50州すべてで販売されているそうです。)に掲載された「Merits of no-kill shelters questioned(ノーキルシェルターのメリットへの疑問符)」という記事です。この記事は、「ノー・キル」(殺処分ゼロ)シェルターの有効性に関する批判を含んでいます。前ページでご紹介した「敗北主義的な思考の呪縛から身を解き放って」を含むNathan J. Winograd氏の個人ブログは、そもそも、この記事への反駁(下記リンク先)を以て開始されているのです。ぜひ、この2つの記事を読み比べてみてください。

◎Nathan J. Winograd:
Rejecting the Consensus of Killing:
(2007年08月18日)
http://nathanwinograd.blogspot.com/2007/08/rejecting-consensus-of-killing.html

◎Nathan J. Winograd:
Whose Interests Does Ed Sayres Represent?:
(2007年08月23日)
http://nathanwinograd.blogspot.com/2007/08/whose-interests-does-ed-sayres.html

 

※masatoさんが記事の翻訳をしてくださいました。ありがとうございます!

「ノー・キル」(殺処分ゼロ)シェルターの
メリットには疑問符が

2007年08月12日付け「USA Today」より

サンアントニオ市(米国テキサス州)に所在する「Animal Care Services」の旧いロビーには表示板が有り、ネオンピンク・青・黄の各色で書き込まれ陽気な雰囲気なのとは裏腹に、次のような重苦しいメッセージが掲げられている。

「1週間の内に市運営のシェルターに収容された犬猫は1004匹。里親に引き取られたり救いの手が差し伸べられたのは76匹。殺処分数は925匹。」

シェルターはこの数字を逆にしたいと考えている。
同市では、2012年までに「ノー・キル」施設とすること、つまり、健康であるか治療可能であると判断された動物は殺処分しないようにすることを目論んでいるのだ。

避妊去勢プログラムにより住処の無いペットの数を減らし、他のシェルターとも協働することで動物達に終の棲家を見付ける活動を通じて、サンアントニオ市のシェルターは、「ノー・キル」を目指しつつも失敗した諸例から教訓を得て来たと考えている。

しかし、動物愛護団体の関係者によれば、「ノー・キル」への転換の際に陥りやすい落とし穴は多く、「ノー・キル」を志向する全国的な傾向が、援けを必要とする動物達にとって常に最大の利益と結びつくか否かについては疑問を抱く向きもある。

PETA(People for the Ethical Treatment of Animals/動物の倫理的扱いを求める人々の会)の家畜部門の長、Daphna Nachminovitchさんは言う。
「「ノー・キル」と云う言葉の響きは非常に良いのですが、実際には、動物を苦しめる場合も起こり得るでしょう。」

他地域で「ノー・キル」シェルターの活動が成功しているのは、地元の他の施設と組んでいるからだ。

アラメダ市(カリフォルニア州)に所在し、2017年までに米国を「ノー・キル」化することを目指す「Maddie's Fund」の代表Richard Avanzino氏は言う。

「我々は、「ノー・キル」に向かおうとする運動の広がりを確かに眼にしています。(しかし一方で)極端な例ながら、物事が間違った方向に進んでしまい、熱意の赴くままに実際には害を及ぼすような行動に出るような、ホラーストーリー紛いのケースも見られます。スイッチをパチンと入れれば効果覿面と云う訳には行きませんよ。」

全国組織は、不必要な殺処分の低減に向け動いている。
アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)は本年、「特務:オレンジ」(Mission: Orange)を立ち上げ、里親による引取りを増やし安楽死処分を減らすべく、国内5つの地域で取り組んでいる。

また、アメリカ人道協会(American Humane Association)は、「Getting to Zero」と名付けた試みを始めた。

しかし、多くの「ノー・キル」シェルターは、(状況打開の)代替策を持たないまま、里親が見付かるまで何ヶ月間も(或いは何年間も)動物を留め置き、収容頭数の過剰や健康障害を引き起こすこととなるのだ。

この謂わば「倉庫保管状態」(warehousing)が、動物問題に関わる組織が「ノー・キル」へと梶を切ろうとする際に、最大の懸念材料となる。
そして、動物愛護関係者の言によれば、収容環境の過密状態を緩和する唯一の人道的な手段は殺処分しか無い場合も有るのだと云うことになる。

PETAが日常的に受け付ける苦情報告の中には、動物達が積み重ねられた小屋に押し込められ、ケージ内部で排尿しないよう給水は1日1回とされ、散歩に連れ出されることも滅多に無い動物がケージの中でぐるぐる回り続けると云った状況がある。

サンアントニオ市営シェルターの所長Jef Hale氏は言う。
「私は、成功した「ノー・キル」シェルターにも、失敗したシェルターにも足を運び視察して来ました。ルイジアナ州の或る「ノー・キル」シェルターでは、関係者の為すことと云えば、ただ動物をケージに入れるだけであり、ひたすらケージ収容を繰り返すのみでした。ケージに入れるだけで触れ合うことをしなければ、その動物は少しずつ狂気へと追い詰められて行くのです。」

だが、「倉庫保管」をしない「ノー・キル」シェルターは直ぐに満杯状態となり、新たな収容をストップせざるを得なくなる。

アメリカ動物愛護協会(Humane Society of the United States)で動物シェルター問題を指揮するKim Intinoさんは言う。
「では、残された手立ては何でしょうか。動物は、全入制だが安楽死を実行する施設でか、なお悪ければ路上かで、その生を終えることになる訳です。」

所長のHale氏によれば、同市の「Animal Care Services」では従来、5万匹の犬猫が収容され、その95%が安楽死処分となっており、ガス処分器に替わるより人道的な方法として、約1年半程前に致死量の注射処置が導入された。

米国全体では、600万から800万匹の犬猫がシェルターに収容され、ほぼその半分が殺処分されている。

PETAのNachminovitchさんは言う。
「問題なのは勿論、800万匹が遺棄されていると云うことです。でも、安楽死処分を止めれば解決するような簡単なことならば、とっくの昔に実行されていますよ。」

ジャクソンビル市(フロリダ州)に所在し、人々がペットをより長い間飼い続けられるように手助けする非営利慈善団体「Animals at Heart」を創設し代表を務めるCharlene Jonesさんは述べる。
「「ノー・キル」のレッテルを守るため、シェルターの中には、里親を見付けられることが確実と判断される動物のみを受け容れようとしたり、スペースを空けるだけのために(ペットとするには)危険かも知れない動物をも里子に出すようなことをするものも有ります。」

不自然な分裂を引き起こすもうひとつの要因は、「ノー・キル」のレッテルなのだ。
或るシェルターが「ノー・キル」となれば、別のシェルターが「キル」シェルターとなる。

ASPCAの代表Ed Sayres氏は言う。
「「ノー・キル」が倫理的にも優れているとするだけの余地は有りません。」

 

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【記事原文はこちら】
◎USATODAY.com:
Merits of no-kill shelters questioned:
http://www.usatoday.com/news/nation/2007-08-12-no-kill-shelters_N.htm

 

記事中で言及されている団体等の参照先


Maddie's Fund - The Pet Rescue Foundation
ASPCA: Mission: Orange: Overview
◎American Humane: Special Events: Professionals
Conference: Getting to Zero
→Wikipedia:American Humane Association
The Animals at Heart Organization
→Hot Topics
The Truth about No-Kill Shelters

2007年10月16日UP!

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