HOME >> CONTENTS >> 動物行政に関する施設・機関の視察、取材メニューへ >>

東京都動物愛護相談センター

世田谷本所

2002年11月18日、東京都動物愛護相談センターに見学に行ってきました。その日の様子と、職員の方から伺ったお話などを報告します。
建物の外観
東京都動物愛護相談センター概要
敷地面積1,024.92F
建物延べ面積360.000F+445.91F
ふれあい広場面積105.00F
センターではどんな仕事をしているのでしょう?センターの方からいただいた、「事業の概要」(平成14年度版)には、次のように書かれています。
仕事の内容
【動物愛護と危害防止】
動物愛護精神と適正飼養の普及啓発
動物教室(小学校等、ふれあい広場)
イベントへの参加(動物愛護週間中央行事・動物フェスティバル等)
広報活動と取材協力(施設見学・報道機関等)
講習会等(譲渡講習・しつけ講習)
飼い主への指導(巡回時・返還時・引取り時等)
苦情・相談(引取り・収容・逸走問い合わせ・適正飼養・人と動物との共通感染症等)
動物の保護と管理
動物の収容(逸走犬・咬傷犬・負傷動物)
犬猫の引取り(飼い主・拾得者)
動物の管理(収容動物の飼養・咬傷犬の検診・負傷動物の治療等)
動物の返還(犬・猫・負傷動物)
動物の譲渡(犬・猫等)
終末処理(致死処分・焼却処理)
動物取扱業(登録・監視指導)
特定動物(監視・逸走時の対応)
人と動物との共通感染症等の調査等
人と動物との共通感染症
その他
本所でこれらの仕事をされている方々の人員は以下の通りです。
 
所長
事務
動物監視員
(予防員)
獣医師
動物指導員
(運転手)
動物指導員
(技術員)
合計
所長
1
1
庶務係
4
4
指導監視係
5
5
動物管理第一係
6
5
7
18
動物管理第二係
5(1)
2
6
8

 

センターの入り口を入った所です。
ふれあい犬が昼間管理される場所
慰霊碑
元気いっぱいのふれあい犬ウル君。もう2年目になるとか・・・。

 

動物収容施設内の様子
この日に収容されていた犬たちです。

咬傷犬とかかれた札。この日はいませんでした。
小型犬が見えます。  
   
冷暖房完備の部屋。向かって右手前から、1日目の部屋、2日目の部屋、3日目の部屋。向かって左奥から4日目の部屋、5日目の部屋、6日目の部屋になっています。ここにいる犬たちは、飼い主からはぐれ、迷子になってしまったか、遺棄されたかもしれない犬たちです。収容期限は7日間。この間に飼い主からの問い合わせを待つのです。収容期限が切れると致死処分とされるために、城南島支所に送られます。しかしながら、東京都では、収容期間中に犬の適性を観察し、譲渡犬候補とできる犬は、収容期限を過ぎても飼養を続け、譲渡への道を開いています。(※詳細は後ほど)
お願いだから、飼い主さん!迎えに来て!!ここにいるよ!!!と叫びたい!

このシェパードは、見学が終わる頃、職員の方が、「お前の飼い主は迎えにくるぞ!待ってろ、今来るからな!」と話しかけていました。6日目の部屋にいたので、もーー、すごくほっとしました。良かったねーーーー!!!!間にあって!!!

この子にはお迎えが来てくれたのでしょうか?

ここに収容された犬猫は、東京都健康局サイト内のページで見ることができるようになっています。

http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/eisei/d_vet/syuyou.html

このページは、あくまで、いなくなった犬や猫を探す飼い主さんのための情報提供であり、里親募集のページではありません。

 

収容状況(平成12年度)

引き取り

保護・収容

負傷動物収容数

合計

所有者から

拾得者から

小計

成犬

578

1,178

1,756

3084

149

5275

子犬

102

119

221

63

2

小計

680

1,297

1,977

3147

151

成猫

716

64

780

-

657

11,888

子猫

841

9,581

10,422

-

29

小計

1,557

9,645

11,202

-

686

合計

2,237

10,942

13,179

3147

837

17,163

処分状況(平成12年度)

返還

譲渡

衛生研究所

検体送付

致死処分

合計

終末処理

来所

現地での返還

小計

1,307

1,908

3,215

453

0

16,34

5,302

1,786

17

0

17

161

0

11,730

11,908

16,179

うさぎ等

0

0

0

1

-

17

18

18

1,324

1,908

3,232

615

-

13,381

17,228

17,983

管理日数

東京都動物愛護相談センターでは原則として、保護・収容した動物を7日間(*)飼養管理しています。
尚、咬傷事故を起こした犬の場合は14日間管理し、狂犬病の検診を行い、負傷動物(交通事故によるもの等)は、応急治療などを行いながら、飼養管理を行っています。

*原則7日間ですが、祝日・祭日が含まれるなどの理由で、9〜10日間ほどに延長される事もあるようです。


ただ、例外もあり、
・離乳前の子犬、子猫
・飼い主から持ち込まれた犬・猫
は、即日処分対象となります。
東京都での致死処分は、原則として大田区にある城南島支所で行われており、
世田谷にある本所には処分施設はありませんが、
即日処分対象となる猫用の小さな処分機が設けられているとのお話でした。
また、重傷の負傷動物や、非常に狂暴な動物などは、致死量の麻酔による措置が取られ、
その後遺体は動物愛護相談センター 城南島支所へ運ばれていき、焼却されるそうです。

動物取り扱い頭数の推移
このグラフを見ると、取り扱い数がどんどん減少してきています。しかし、ここ5年くらいは横這いです。
犬猫の引取について
犬猫の引き取りに関しては、拾得者からは無料、飼い主からは有料となっています。飼い主からの引き取りの場合は、直接センターに来てもらうそうです。
引き取り理由
引っ越し(転勤の際、社宅に入る事になった、なども見受けられる)
飼い主の病気・死亡
老犬・老猫になってしまった為面倒が見切れなくなった
ムダ吠えなどによる近所からの苦情
躾の失敗
*東京都動物愛護相談センターでは、理由を聞いてから引き取るものの、
特に統計は取っていらっしゃらないとのお話でしたので、理由のみの掲載になります。
引取料
成犬
_2800円
大型犬(50kg〜)
_5500円
成猫
_2800円
子犬・子猫
_560円
   
※東京都では、昭和55年 東京都動物の愛護及び管理に関する条例が施行された際、
引取料を徴収するようになったそうです。
引取料の根拠は実費によるもので、持ち込んだ者へ対するペナルティではないとのご説明でした。

 

 

治療室です


負傷動物はここで治療を受けます。

 

 

壁にはってあった、飼い主さんが作った「探しています!」のポスター。必死に探している方もいます。

 

犬猫の譲渡の主な流れ
東京都動物愛護相談センターでは、愛情を持って最後まで飼ってもらえる方で、原則として東京都在住の方のみに譲渡しています。
−流れ−
健康面・性格チェックを行った上で、譲渡候補犬(猫)を決定。
譲渡希望者には、条件(成人・都内在住・住宅環境の提示-規約を見せて貰う-・終生飼育・繁殖制限の徹底)を提示し、センターからの譲渡の際のリスク、何らかの問題を抱えているかもしれないとの説明をした上で、家族全員の了承の有無を確認し、2度の講習会を受けて貰う。
その後、書類への記入を終え、譲渡される仕組みとなっている。
又、子犬は希望者が多い為、100%近い譲渡の実績があるとのお話でした。
(*今は子犬に関しては、希望者がいる為に救われる命となっていますが、
 その事に安心し、無責任に遺棄する人が増えれば、
 この実績が保たれないのは目に見えています。
 また、免疫力の少ない子犬が遺棄されれば、食べるものもない上に
 遺棄された事による環境の変化などからのストレスが原因で
 いつ命を落とすとも限りません。
 当然ながら、動物の遺棄は犯罪であり、絶対にしてはなりませんし、
 産まれてくる命に責任を負えないのなら、不妊・去勢手術は必ずしなくてはなりません。
http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/eisei/d_vet/jouto.html
詳細はこちらのページをご覧ください。

譲渡は大きく2つのルートがあります。

1つは東京都都民が個人的に問い合わせて、譲渡の条件を満たし、譲渡を受ける場合

2つめは、「団体譲渡」とも呼ばれ、ずっと、センターとの信頼関係を築いてきたボランティア団体がまずは譲渡を受け、そこから再譲渡されていく道です。団体譲渡であっても、譲渡を受けられる条件は変わりません。

平成12年度の譲渡数は615頭でしたが、個人譲渡と団体譲渡の割合としては、半々くらいというお話でした。

譲渡されるワンちゃんたち
幸せになってね♪

ちょうどこの日、譲渡されていったワンちゃん
譲渡希望の人とお見合いが決まり、センターを出るワンちゃん

 

動物愛護への取り組み
東京都では、人間と動物が共生できる街作りを目指し、以下のような取り組みをしているそうです。
1.動物教室
 

小学校低学年等の子ども達に動物との触れあいを通じて、動物愛護精神や動物に接した際の衛生に関する普及啓発を行っています。教育委員会に年度始めにこの事業について手紙を出し、希望する小学校を調べてもらいます。
依頼のあった学校の体育館へ、犬、猫、うさぎ、モルモットを連れて出向き、触り方や習性、危険回避の方法などを教えているそうです。子どもたちに拡張心音計で直接動物達の心音を聞いてもらい、「命」について皆で勉強したり、咬傷事故をなくすために、犬への正しい接し方も教えます。咬傷事故は、人間側の触り方や接し方に問題がある場合も多いからだそうです。いきなり、犬に触るのではなく、必ず飼い主に触ってもいいかを聞き、手をぐーの形にして犬の鼻面に持っていき、臭いをかがせる、それで安心してもらってからあごの下から触る・・・というように接しましょう・・・と教えるとのことでした。
この「動物教室」は年間70回前後行われており、年度始めに候補校の中からまだ行っていない学校を優先し、学校までの距離や日にちを考慮した上で訪れる学校を決定するそうです。

「動物教室」は「出張型」と「来所型」があり、直接センターに来る方々にも対応しています。

◆平成12年度の例
・728件9124名

 

2.イベントへの参加及び区市町村への普及啓発事業支援
 

動物愛護週間(9月20日〜26日)中に開かれるイベント等に参加し、
「動物ふれあい教室」や動物に関する相談などを行っています。

◆平成12年度の例
・のべ30回参加。15568名に啓発用パンフレットを配布

3.広報活動と取材協力
 

リーフレット等の配布を通じて動物愛護精神と適正飼育の普及啓発を行うとともに、報道機関等からの取材に積極的に対応しています。
◆平成12年度の例
・来所者数……………………………………………3952件7090名
・施設見学、取材などへの対応 ……………………436件1389名

 

4.講習会(譲渡講習会)など
 

犬・猫などを譲渡する際に、譲渡を希望する方が「模範的な飼い主」になってもらうよう3カ所で講習会を実施しています。
また、「犬のしつけ方教室」を毎月開催しています。最近は保健所などからの依頼により、猫の適正飼養講習会を実施することもあるそうです。

◆平成12年度の例
・来所者数…………2179件4479名(うち「しつけ方教室」75回462名)

 

5.動物取扱業の登録、監視、指導について
 

動物取扱業(販売・貸し出し・一時預かり・訓練又は調教・輸出又は輸入・美容又は装飾・繁殖・展示・興行)の登録及び監視指導を行っています。

 

6.苦情・相談対応
 

飼い主への指導・動物の病気や飼い方などをはじめとした様々な相談には動物監視員(獣医師)が対応しています。

◆平成12年度の例
・指導注意件数…………………………………2268件
・苦情相談等受理件数(総数)…………………………49789件
  ・引き取り依頼 ……………………973件
  ・苦情……………………5803件
  ・相談………………………………17616件
  ・逸走問い合わせ………………………………25397件

 

 

見学を終えて・・・
liru
千葉県動物愛護センターを訪れて約1ヶ月後、今回の東京都動物愛護相談センター見学の機会に恵まれた。
施設自体、それほど新しくないにもかかわらず、とても綺麗に感じられ、千葉のセンターでは、冷たく暗い空気がよどんでいた収容室にも、心なしか暖かさが感じられたように思った。
それはきっと、東京のセンターは、千葉では行っていない成犬・成猫の譲渡に取り組むなど、譲渡に対して積極的であり、また事業自体も動物愛護への取り組みに力を入れている事を、職員の方のお話から伺っていたからだろう。
見学中、「千葉県は、東京都を目指すべきだ。やってやれない事ではないだろう」と、心の中で考えていた。
しかし、成犬・成猫譲渡への取り組みが盛んとは言えど、尊い命が犠牲になっている事には変わりない。
どうしても「数」で見てしまい、千葉よりましだ・・と思いがちだったのだけれど、1頭1頭の苦しみには何ら変わりはないのだ。
東京のセンターで譲渡候補になれなかった犬・猫等には、他のセンター同様、苦しい死だけが待っている。
しかもそれは、長い間人間を信頼し一緒に暮らしてきた年老いた子や、この世に生を受け、未来に満ちあふれた、産まれたばかりの子が対象となってしまう事が多いとお聞きした。
東京のセンターに収容された後、無事に生還できるのは、飼い主が迎えに訪れた子もしくは若く健康な子がほとんどなのが現実なのだ。
また、東京のセンターを訪れ、心に残ったのが「東京都の殺処分における近年の推移」に対する質問についての回答である。
何故、このような減少傾向の実績を作る事が出来たのか、という質問に「住民のモラルの向上が大きな要因ではないか。避妊・去勢手術の必要性や室内飼いの徹底が、広く伝わったからだと思う」という回答だった。
都も、それなりの努力をしてきたからの実績であるとは思うけれど、多くは民間の人々・・個人や団体で避妊去勢を進めるなど啓蒙・活動されている方々等々・・が、長年に渡って動物達の為に惜しみない力を発揮されてきた結果のように思う。
千葉県のレポートにも書かせて頂いたが、行政へ幾ら訴えても、なかなか取り合ってはもらうのは難しく、勿論、陳情などをし、住民の生の声を届けていかなければならないし、行政もそれを受け止めていって欲しいのは山々だが、結局は個々の人々がねばり強く頑張っていくしかない様に感じている。
それらの、想像を絶するご苦労の元で活動を続ける団体や個人の方に深い尊敬の念を覚えるとともに、私達も、例え小さな事でも自分に出来る事からコツコツと取り組んでいき、国民の動物に対する意識を、理解を深めていくことが大切だと改めて実感した。
もちろん行政側も、それぞれに適切な目標に向かって確実に一歩一歩進んでいける様、柔軟に対応して頂きたいと願っている。
今回の見学を通しても、全国でも酷い惨状の千葉県などは、全国の中でも動物愛護に関して積極的に取り組んでいる東京都などを目指し、ようやくここまで漕ぎ着けられた東京都などは、更に上を目指していって欲しい、そう強く感じた。
日本は動物において、まだまだ発展途上国であり、これから改善すべき点は山ほどあるのだ、という事を改めて痛感すると共に、それらを変えられるのは私達一人一人の力なのであるという事も改めて強く感じたセンター見学であった。
kanako

最近、ご主人と共に嬉しそうに散歩をしている犬の姿を見るだけで、目頭が熱くなってしまうようになった。心の中で「良かったね、大事にしてもらって。君と同じ仲間が、今日も日本中で捨てられ処分されている・・・。君はずっとずっと幸せでいてね。」と話しかけてしまう。そして、その飼い主にも、心の中で「どうか、ずっと最後の時まで、面倒をみてあげてくださいね」と祈ってしまう。大事にされている犬の姿が「貴重」に見えるほど、全国の保健所や動物愛護センターで致死処分される寸前の多くの犬たちや、悲惨な繁殖犬たちの姿が頭から離れない。動物を愛し、家族に迎えたことがある人なら知っていると思う。大昔から、人間の良きパートナーとして生きてきた犬猫たちが、どれほど感情が豊かであるか。怖い、嬉しい、悲しい、寂しい・・・それらの感情を、彼らはしっかりと持っている生き物である。

ご主人として信頼し、仲間として生きてきた家族から突然離され、まったく訳の分からない場所に入れられて、彼らはどんなに心細く、不安で寂しい気持ちでいることだろう。そして、最後は、苦しい死が待っている・・・。

そんなことを想像すらできない、また感じることもできない人々ばかりにこの世界がなってしまったら、その行き着く先は、私には恐ろしい。

私が、動物の問題を取り扱いながら常に思うのは、これは人間の問題なのだ、ということである。人間の心の有り様が動物の問題に映し出されている。

悲しい現実はあまりにも大きな壁となって、私たちの前に立ちはだかっている。「かわいそう・・・」という言葉1つ、簡単に吹き飛ばされてしまうかのように。でも、そこから始まるのだと思う。「かわいそう」と感じることができる生き物として、人間はいるはずだ。同じ感情を持つ動物たちに、心を寄せ、その「かわいそう」を取り除くために知恵を持ち寄ることこそを、人間の「叡智」とし行動していく。そのような思いやりを根底に持った人間社会を作りあげていくことを、心底願う。

 

こちらが、
東京都動物関係のホームページです。
獣医衛生の扉 http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/eisei/d_vet/index.html

HOME >> CONTENTS >> 動物行政に関する施設・機関の視察、取材メニューへ >>